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登山でハンガーノックの症状を見抜く方法とすぐできる対処法

山で急に力が抜けてしまうと不安になりますよね。ハンガーノックは疲労感やめまい、判断力の低下などを引き起こし、行動の継続や安全に大きな影響を与えます。ここでは山で起きるハンガーノックの見分け方、仮の対処、予防法までをわかりやすくまとめます。初心者からベテランまで役立つポイントを押さえて、安全な登山に備えましょう。

目次

登山でのハンガーノックの症状をすぐに見抜くポイント

初期に出る代表的なサイン

ハンガーノックの初期症状は、急な疲労感と注意力の低下が多く見られます。体がだるく感じ、普段よりペースが落ちることが多いです。こうした違和感を感じたら、まずは立ち止まって休憩を考えましょう。軽い頭痛や空腹感、手足の冷えも現れることがあります。

同時に気分の落ち込みやイライラが出る場合もあります。気持ちの変化は自分では気づきにくいので、同行者に様子を尋ねてもらうと安心です。行動を続けるかどうかは、これらの初期サインを無視せず早めに対処するかで変わってきます。短時間で糖質を補給して休むことが大切です。

立ちくらみとめまいの違い

立ちくらみは起立時に一過性で視界が暗くなったりふらつく感覚です。ハンガーノック由来の立ちくらみは、急に血糖が下がることで起こることが多く、座ったりしゃがんだりすると改善する傾向があります。

めまいは回転感を伴うことがあり、バランスを取るのが難しくなります。高山病や内耳の問題でも起きるため、単に糖質補給だけで済まない場合があります。症状が強いときは無理に歩かず、安定した姿勢で休んで原因を見極めるのが重要です。

筋力低下や歩行困難の確認方法

歩行がふらつく、足が重い、踏ん張りが効かないと感じたら筋力低下が始まっている可能性があります。確認は平坦な場所でゆっくり歩かせ、左右の歩幅やリズムが乱れていないかをチェックします。登りで急にペースが落ちた場合も警戒が必要です。

片足で少し立ってみてバランスが取れない場合は症状が進んでいることが多いです。同行者と一緒に荷物を軽くする、休憩して糖質を補給するなどの対応を早めに取りましょう。無理をすると転倒や怪我につながります。

強い眠気や集中力低下の見分け方

強い眠気や集中力の低下は、判断力の低下として現れます。地図読みやルート選択を誤りやすくなり、道迷いのリスクが高まります。簡単な計算や簡潔な会話ができるかで判断力の程度を確認できます。

眠気が強ければ短時間でも仮眠を取り、糖質と水分を補給して様子を見ます。眠気が糖分不足由来か疲労由来かは判断しにくいので、両方に対応する形で休憩と栄養補給を行うと良いでしょう。集中力が戻らない場合は行動を中止して下山を検討します。

冷や汗や震えが出たときの対応順序

冷や汗や手の震えが出たら、まず安全な場所で座ることが優先です。地面に座り、体温を守りつつ糖質を素早く摂取します。飲み込みやすいジェルやキャンディーがあると便利です。

糖質補給後15〜20分ほどで改善が見られなければ、追加で補給しつつ救助や下山を検討します。症状が急激で強い場合は、意識低下や嘔吐につながる恐れがあるため、無理に動かさずに応援を呼ぶ準備をします。

高山病や脱水との見分け方

高山病は頭痛、吐き気、呼吸困難が中心で、行動中の倦怠や眠気に加え呼吸が浅くなる特徴があります。脱水は口の渇き、尿の濃さ、めまいが顕著です。ハンガーノックは空腹感や手の震え、急激な力の低下が多い点が異なります。

判断が難しい場合は、水分と塩分、糖質を同時に補給して症状の変化を観察します。呼吸困難や意識障害が出れば高山病や重度の脱水の可能性があるため、速やかに下山や救助を検討してください。

ハンガーノックが起きる仕組みとよくある誤解

低血糖が中心になる理由

ハンガーノックは体内の利用可能なエネルギー、特に血中のブドウ糖が不足することで起こります。筋肉や脳は運動中に優先的に糖質を使うため、長時間かつ強度の高い活動では血糖が急速に低下します。肝臓に蓄えられたグリコーゲンが枯渇すると、体内の糖供給が追いつかず症状が現れます。

また、エネルギー補給が遅れると体は脂肪代謝に切り替わりますが、脳は糖質を好むため反応が遅れ、めまいや認知機能低下が起きやすくなります。このため短時間で吸収できる糖質を補給することが効果的です。

シャリバテとの違い

シャリバテは主に炭水化物中心の食事で満腹感はあるがエネルギー不足を感じる状態を指します。表面的には似ていますが、ハンガーノックは実際の血糖低下やグリコーゲン枯渇が直接の原因です。シャリバテは食事の質や消化速度の問題が関与することが多く、満腹でも持続的なエネルギー供給が不足しているケースがあります。

対処法は共通点もありますが、ハンガーノックは即効性のある糖質補給が優先されます。一方で食事のバランスを見直すことも両者にとって重要です。

運動強度とエネルギー消費の関係

運動強度が上がるとエネルギー消費も増えます。登りや急な斜面では短時間で多くの糖質を消費するため、普段よりこまめな補給が必要になります。心拍数が高い状態が続くと糖質の消費割合が増えるため、行動中の食べ方を調整することが重要です。

ペース配分を考えずに高強度で歩き続けると蓄えが早く減り、ハンガーノックのリスクが高まります。一定の強度で長時間続ける場合は、行動食の量と頻度を増やすことを検討してください。

水分不足や疲労が影響する場面

水分不足は血液循環を悪くし、糖の運搬効率を下げるためハンガーノックを悪化させます。汗で失われる塩分も影響し、脱力感やめまいが起きやすくなります。また、前日の睡眠不足や疲労蓄積はエネルギー代謝に影響を与え、同じ運動量でも早く枯渇することがあります。

したがって水分と塩分の補給、十分な休養はハンガーノックの予防に役立ちます。行動中だけでなく、前日の準備も大切です。

食事の時間や内容が与える影響

食事の取り方は直接的に影響します。出発直前に重い食事をとると消化にエネルギーが取られ、すぐに効く糖質が不足しがちです。一方で軽くて吸収の早い炭水化物を適度に摂ると行動の初期に安定したエネルギーが得られます。

食事の間隔が長くなるとグリコーゲンが減りやすいので、行動食をこまめに摂る習慣をつけると良いでしょう。脂肪やたんぱく質は持続力に貢献しますが、即効性は糖質に劣る点に注意してください。

個人差が出る要因

基礎代謝、体格、経験、普段の食事習慣などで個人差が大きく出ます。同じコースを歩いても必要なカロリーや補給タイミングは人によって違います。糖の消費率は筋肉量や性別、年齢でも変わります。

自分に合った補給法は経験でしか掴めない部分もあります。計画段階で余裕を持ち、複数の補給手段を用意しておくと安心です。

現場でできる応急処置と下山の判断

まず行う糖質補給とおすすめの補給食

まずは吸収の速い糖質を優先します。スポーツドリンクやブドウ糖タブレット、ゼリー飲料が即効性があり扱いやすいです。キャンディやチョコレートも短時間でエネルギーになりますが、脂質が多いものは吸収に時間がかかる点に注意してください。

携行しやすいものとしては、飴、ジェル、ラムネ、乾燥フルーツなどがおすすめです。まずは少量ずつ摂り、15〜20分様子を見て改善がなければ追加で補給します。水分と一緒に摂ると吸収が良くなります。

安静にする場所と姿勢の取り方

安全で平坦な場所を選び、日陰があればそこで休みます。座って膝を曲げ、頭を低くすると血流が安定しやすくなります。寒い場合は防寒具を着込んで体温を維持してください。

高所では呼吸を楽にするために深呼吸を促し、無理に動かさないことが大切です。複数人で行動している場合は、必ず誰かが側にいて状況を観察してもらいましょう。

症状が改善しないときの次の行動

糖質補給や休憩後も改善しなければ、早めに行動を切り上げて下山を検討します。ペースを落として安全な経路を選び、支援が得られる場所まで移動するのが望ましいです。無理に進むと症状が悪化し事故につながります。

同行者の状態もよく確認し、1人でも歩行が難しい場合は救助を依頼する準備をします。携帯の電波や現在地の確認を怠らないでください。

意識が悪い場合に優先すること

意識が低下しているときはまず安全な体位にして気道確保を行います。呼吸と循環を確認し、呼吸が弱ければ人工呼吸や心肺蘇生を検討します。可能であればブドウ糖の溶液を経口で与えますが、意識が悪い場合は誤嚥のリスクがあるため与えないでください。

この段階では速やかに救助を要請し、状況と症状を明確に伝えることが重要です。

救助を依頼するタイミングと連絡の仕方

自力での下山が難しい、意識障害や嘔吐がある、症状が改善しない場合はすぐに救助を要請します。携帯が通じにくい場所では、衛星通信機器や無線があると安心です。連絡時は現在地(できるだけ詳細に)、人数、症状の内容、負傷の有無を簡潔に伝えます。

同行者がいる場合は一人が救助対応、もう一人が患部の観察や応急処置を行うと効率的です。落ち着いて情報をまとめて伝えてください。

回復後の行動と休憩の取り方

症状が改善したら、すぐに行動を再開せず十分に休憩を取りましょう。血糖が安定するまで甘いものと同時に適量のたんぱく質や炭水化物を摂り、次に動き出すタイミングを慎重に判断します。短時間で再発することもあるため、最初のうちはペースを落として小まめに補給します。

回復したとはいえ無理は禁物です。安全第一で下山や行程変更を考えてください。

予防と補給の習慣を登山計画に組み込む

出発前の朝食で押さえるポイント

出発前の朝食は、消化が良くエネルギーになりやすい食品を選びます。炭水化物を中心に、適量のたんぱく質を組み合わせると持続力が上がります。重すぎる食事は避け、出発直後に吸収の速い補給食を用意しておくと安心です。

食べる時間は出発の1〜2時間前を目安にすると、消化が進み行動初期に安定したエネルギーが得られます。普段の体調や胃の強さに合わせて調整してください。

行動食のおすすめとカロリー目安

行動食は携行性と摂取のしやすさが重要です。目安として1時間に200〜300kcalを補給できるよう計画すると良いでしょう。おすすめは以下のようなものです。

  • エネルギージェルやキャンディ:即効性がある
  • ナッツやドライフルーツ:持続力のある糖質と脂質
  • バータイプ:噛むことで満足感も得られる

長時間行動する場合は合計で予想消費カロリーの20〜30%を行動食で補うイメージで準備してください。

補給のタイミングと量の目安

補給は空腹を感じる前に行うのが基本です。30〜60分おきに少量ずつ摂ると血糖が安定します。具体的には飴1〜2個やジェル半量など、負担にならない量をこまめに取るのが効果的です。

激しい登りやペースが上がった時は普段より多めに補給するか、補給の頻度を上げてください。水分と一緒に摂ると吸収が良くなります。

長時間登山前のカーボローディング

長時間行動が予想される場合は前日に炭水化物を多めに摂ることで肝や筋肉のグリコーゲン貯蔵を増やせます。これは持久力向上に役立ちますが、当日の食事も怠らないようにしてください。

過度に摂って胃腸に負担をかけると逆効果です。普段の体調や消化能力を考えて無理のない範囲で行うことが大切です。

高強度区間での特別な補給法

急な登りや連続する急斜面では短時間で糖質が消耗します。そうした区間の直前に糖質を多めに摂り、区間中は吸収の速い補給食でこまめに補充します。例えばジェル1本を区間前に、区間中はキャンディを少量ずつ摂る方法が有効です。

強度が落ち着いたら通常の補給頻度に戻し、無理をしないでください。

水分と塩分の取り方のコツ

水分補給はこまめに少量ずつ行うのが基本です。喉が渇いてからでは遅いので、定期的に飲む習慣をつけてください。汗で失う塩分はスポーツドリンクや塩タブレットで補うと良いです。

特に暑い日や発汗が多い場面では塩分不足がハンガーノック様の症状を引き起こすことがあります。水分と塩分をセットで補給することを意識しましょう。

トレーニングで体を鍛える方法

有酸素運動を中心に持久力を高めるトレーニングを行うと、同じ強度でも糖の消費効率が良くなります。週に数回の長時間ウォークや坂道トレーニングが効果的です。筋力トレーニングで筋肉量を維持すると基礎代謝とエネルギー備蓄が向上します。

トレーニング中にも補給習慣を取り入れて、実際の登山に近い条件で体を慣らしておくと安心です。

登山でのハンガーノックの症状とすぐできる備え

登山中に備えておくべき基本装備と習慣をまとめます。行動食や水分、塩分の準備は必須で、携帯の充電や救助手段の確認も重要です。出発前に体調を整え、無理のないペースで歩くことを心がければリスクは大きく減らせます。日頃のトレーニングと当日のこまめな補給で、安全に山を楽しんでください。

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この記事を書いた人

アウトドア施設の調査やレジャー紹介を専門に活動しています。パラグライダーやボルダリング、フォレストチャレンジは体力よりも好奇心があれば楽しめます。自然とふれあうことで心も体もリフレッシュできる、そんな体験のヒントをお届けします。

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